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ローマで知った能のこと&おすすめbook!
ローマで知った能のこと&おすすめbook!_b0206901_084642.jpg  ローマのテルミニ駅近くには国立の大きな図書館があって、けっこう使い勝手がよろしいです。利用カードをかならずつくらなければいけませんが、必要なものはパスポートくらいだったはず(かなり前につくったので忘れてしまいました……)。持ち込み制限は厳しいですが、かいくぐれば(笑)かなり勉強しやすいスポットです。空調設備いいし、トイレ綺麗だし! 長居し放題だし! (イタリア的には超重要)

 学問分野によって大きくスペースがとられており、私がお気に入りの場所は芸能(舞踊・音楽など)のスペース。とても広い区画です。もちろん日本伝統芸能の本も揃っています。基本英語なんですけど……。

 その中で、日本語も載っていた本を発見し、浮かれながら読んだ一冊があります。ジャンルは能の入門書。英語と和訳の二通りで同じ内容が載っているものでした。タイトルは下記です。

 『比較文化的に見た日本の演劇―アメノウズメから野田秀樹まで』
  野間 正二著・大阪教育図書
ローマで知った能のこと&おすすめbook!_b0206901_084380.jpg これが、ものすごく良い本でした。すごくおすすめです(英語読める外国の人にも!)。能のことが、すごくよくわかるんです。海外の人に、能のことを誤解なく教える入門書なので、説明がとても丁寧。何の予備知識がなくてもすんなり理解できます。私はこの本に出会えて感謝しっぱなし。

 そして、この本がイタリアにあることを私は誇りに思いましたよ! なんせ私は日本人でありながら、まともに能を見たことがないし、能の仕組みもよくわかっていませんでしたから。舞踊好きのマリナたちに、歌舞伎とか日本の伝統芸能訊かれると答えに窮するんですよね……こういう日本文化の基礎知識、海外に出るときは絶対に持っておいたほうがいいです。そうでないと、自国のこともよく知らないつまらん人間だと思われます(苦笑)。

 さて、能の基礎知識をイタリアで学んだというのも不思議な話ですが、……能は記号論的演劇なのだと思いました。感情のない能面をつけて、極力シンプルな舞台で演じられるそれらは、多くの制約に縛られながら、簡略的かつ象徴的に描かれています。特に世阿弥が描く能は、亡霊を主人公にしているものが多いとか(例をとれば、有名な『松風』は、聞き手の見た夢の中を舞台化したかたちをとっているそう)。
ローマで知った能のこと&おすすめbook!_b0206901_084921.jpg 能の舞台が、簡略的かつ象徴的に描かれている理由が、『頭の内側の世界を視覚化したものだから』というのも、すごく面白いというか……概念がどこか他国より斜め上をいっているというか。日本って面白い解釈とか発想をする国だなと、イタリアで改めて思いました。

 私が外国人だったら、絶対に日本にハマッたと思うんですよね(腐ってるマンガオタクでバンギャ的な意味でも……って意味わからない人はググってください)。そんな自分が日本人であるというのが、まず嬉しいし不思議な感覚です。日本は面白い国ですよ。イタリアは笑っちゃう国ですが(どちらも良い意味で!笑)。

 というわけで、イタリア(海外)で日本のことを学ぶのもまた楽しい。能は一度ちゃんとしたところで(国立能楽堂とかで)見たいですね。きちんと学んで、行き着く先は佐渡です。佐渡。 

 そういえば、過去にローマまで歌舞伎が公演されたとき、マリナちゃんに一時帰国するからチケット押さえといてね! と、念を何度も押したにも関わらず、高倍率で一枚しか取れなかったという無念なことがありました。一枚だけだったので、異文化交流としてマリナに行ってもらいました。本当は一緒に行きたかったけど(マリナにもそれを超言われたけど!)、私は見たいときに見れるのでいいんです。とりあえず、今見たいのは能なんです。

(写真は、マリナとでかけたりしたものの数々。一枚目、夜のフォロ・ロマーノ周辺。二枚目、ボルゲーゼ公園。三枚目、アッピアあたりのどこかの遺跡前。図書館の話は、過去にもしていました。リンクはコチラです。)

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by gosuiro | 2011-07-06 00:24 | イタリア的雑記 | Comments(0)


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