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【ROMA留学エッセイ番外2*25】イタリア的ダイエット!
 イタリア留学エッセイ番外編02は、私も気になるダイエット。後日もう少し詳しく、食生活……というかダイエットについて補足いたします。前回のエッセイ「ひとつの出会い」はコチラです。そして、拍手ありがとうございます!

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 イタリア人は、食べるのが好きだと思う。イタリアが美食の国と言われるのは事実だ。イタリアのマンマたちが、巣立った子どもの帰省の折り、張り切ってとんでもない量の食事をつくる点は、日本とあまり変わらないかもしれないが……イタリアの場合、その手料理の量が半端ではない。

 パスタを一皿目に出す家庭は、まずパスタを食べて(しかも、パンと一緒に)、そこから野菜や肉、魚の料理に向かう。パスタの量は日本と同じくらいかもしれないが、日本よりも、パスタのソースが格段に濃い。大量のチーズとオリーブオイルを使うせいである。そうしたパスタの後に、オリーブオイルを使った野菜や肉、魚の料理が来るわけだから(全種オリーブオイルまみれの場合は多い)、脅威的な量である。

 特筆すべきは、オリーブオイルの使い方だ。日本でもイタリアでもオリーブオイルは身体にいいといわれている。確かに、油の中ではかなり身体にいいほうだ。しかし使いすぎはよくない。

 イタリアの場合、大人三人暮らしで、オリーブオイル一リットルが一ヶ月も経たずになくなると言っても過言ではないほど、使い方が半端ではないのだ。揚げ物で使う油を抜いてそれである。(彼らもオリーブオイル以外の油で揚げ物をする)。

 彼らにとってのオリーブオイルは、私たちにとってのしょうゆと同じだ。瓶からドポドポと音を立ててフライパンやサラダにぶっ掛ける。おそらく大量に使うのは、オリーヴの風味を出すため仕方のないことだろう。イタリア料理は、日本人が悲鳴をあげそうなほど大量のオリーヴオイルを使わなければ、本場の味にはならないのである。

 イタリアが本当に好きな日本人は、食べることが好きな人でもあると思う。ちなみに私は、元々トマトとセロリやパプリカ、燻製肉や油っぽいものが苦手だった。パスタもチーズもあまり好きではない。日本で、イタリア料理の美味しいところは知らない。あまり探す気もない。そもそも和食が一番好きなのだ。その上、ワインも好きではない。もっぱら蒸留酒派である。

 私はイタリアに来て、嫌いだった食べ物がたくさん食べられるようになった。単に慣れである。マリナに料理を出されたら拒否できない。好きじゃないといっても「食べてみたらおいしいと思うから」と迫られるのだ。拒否するより、食べたほうが楽だったのである。

 食のみで住む国を選ぶならば、私は絶対に日本から出なかっただろう。イタリアを留学先に選んだのは、西洋哲学の関係と気候と文化、そして国民性からだ。また、ゆったりした時間の使い方が、私の生まれた故郷ともいえる沖縄北部に似ているだろうと思ったのだ。大学時代に他欧州をめぐって、ローマを選んだ。

 その昔、旅行したチェコとドイツで地元の料理に胃を痛め、そこから帰国まで現地の料理が一切受け付けられなかったこともある(日本から持ってきた携帯保存食ですべてしのいだ)。イタリアに住んだ頃も、似たようなことを繰り返し、ようやく胃を休めるコツを覚えた。マリナの本場イタリア家庭料理をよく食べていたのだから、かなり胃は鍛えられた。おかげで体型もかなり肥えたのである……。

 さて、イタリアに在住しながらダイエットをするのは、少し難しいものがある。救いなのは、生野菜が安くて豊富なことだ。私は海外に住んでいても、基本は和食向きの料理を選ぶ。かぼちゃの煮つけなどつくっていると、マリナはかならずのぞきにくる。醤油の使い方や、和食に興味があるらしい。そして、「身体に良さそうだわ」と、感想を述べる。

 そのマリナは実際に、私よりダイエットしなければならない人間なのだ。高血圧で、本気で痩せないと危険だと医者に言われている身だ。体調管理を徹底しなければならないマリナだが、実情を見ているとなかなか大変そうだ。食品にカロリー計算は載っているが、イタリアのものは時おり表示が間違っているし、料理のレシピを見ると「どう考えても、オリーヴオイルのカロリーは加味されていない」カロリーが記載されている(イタリアの人は、オリーヴオイルは半ばカロリーがないと考えている節がある。大いなる間違いである)。

 ダイエット本のパーティー用レシピも、昼食のコース料理はあわせて1400カロリーもあった。立食でないかぎり、パーティーの食事はコース料理で全員分きっちりでてくる。用心して食べなければすぐ太るが、手をつけないというのもよくない(それこそ娘のエレナが、私に上手に食べ物を残す方法まで教えてくれる始末だ)。

 イタリアの食材で有名なのはチーズだが、チーズも脂分が多く、塩分も強い。高血圧のイタリア人は、医者に摂取を制限される。燻製肉(プロッシュート等)も塩分豊富だ。そして、イタリア料理に油分を使わないレシピは少ない。デザートもコテコテの甘いタルトやチョコ、チーズをたっぷり使用したお菓子など、小麦粉と油分と大量の砂糖を使うものばかりしかないのだ。私はローマのスーパーでゼリーが売られているのを見たことがなく、家主のマリナ宅でつくれば「それはなあに?」と不思議な顔をされる。ヘルシーなデザートといえば、ヨーグルトかジェラートになるのだろう。もはや果物が一番ヘルシーだ。

 つまり、ダイエットをはじめるにしても、食べられる食材や料理の選択肢が日本の数倍少ないのである。痩せるために食べないという短絡的で危険なやり方を選んでしまう原因のひとつとして、ヘルシーな食事ができる食文化が根付いていないことがあると思う。

 たとえば、ダイエットのために、シリアル生活というのは欧州では低カロリーダイエットのひとつになる。だが、日本からすればシリアル自体が高カロリーに感じられる。欧州で低カロリーとして食べられている食材は、日本からすれば高カロリーの部類になることも多いのである。

 日本でダイエットをするならば、こんにゃく、ところてん、寒天、野菜鍋、酢の物などを食べるという選択肢がある。おでんはダイエットに効果的だ。しかし、上記の通り、イタリアにはそういった食べ物がない。お菓子も、和菓子は羊羹やせんべいなどは油分がなく、ヘルシー健康食といえるものだ。油分と炭水化物のセットが一番太りやすいというのならば、イタリアはダイエッターに大変恐ろしい国なのである。

 これだから、イタリアでは恰幅の大きい人が多いのもうなずける。痩せている人は、よほど食生活に気をつけているか、運動をして鍛えているか、少食であろう。小麦アレルギーの方は痩せているかもしれない。イタリアで小麦アレルギーになれば、全料理の半分は食べられないのからである。だからこそ、食品アレルギー対策(またグルテン非摂取主義、肉非摂取主義)にまつわる店やコーナーが多い。米粉でつくったパスタやとうもろこしでつくったパスタなどは、イタリアではさほど珍しくない。

 マリナはがんばろうとしている。命に関わる話になってきているからだ。夜友人やらに誘われるピッツアも断り(ピッツアは基本、夜食べるもの。あの大きいのを一人一枚分食べる。日本人の夜食ラーメンと似たノリ)、医師に書かれた減量用レシピに沿おうとしている。しかし、どうしてもチーズやビスケットなどの甘いお菓子はやめられないようだ。

 お菓子にいたっては、むしろ彼女自身がつくって食べている。半年間で、パンケーキ(18号一ホール)を七回以上つくったはずだ。その毎度、彼女はおよそその半分を自分一人で食べているのである。……イタリア人の主食はお菓子(ドルチェ)ではないかと私が思うのはこのあたりからだ。皆甘いものに目がない。

 一方、マリナの娘エレナは背が高く、欧州中を仕事でめぐり、イタリアではテレビのCMに出ていたほどトップクラスのダンサーをしていたこともあって、イタリア人の中でも特別美しい体型をしている。細くてバレエの筋肉がついているのだ。彼女も無類の甘いもの好きだが、少食で食べるのも遅い(イタリアの人は案外食べるのが早い。しゃべり止まらないからゆっくり食事しているように見えるだけだ)。 痩せたいのであれば、誰もが憧れるプロポーションを持つ娘の食べ方や習慣を見て真似ればいいのに……と思うが、無理は話なのだろう。ちなみに、マリナはの身長は154センチで私と同じだ(南イタリアは、案外小柄な女性が多いのだ)。

 イタリアに来て太ってしまったせいで、猛烈にダイエットをしたい私だったが、どう考えても日本でダイエットをしたほうが無理なく痩せられると思った。イタリアでは、極力日本食に近い料理を食べようと日頃心がけているが、イタリアでダイエットするのは、日本の数倍難しい。イタリアでおいしいものは、その多くが高カロリーなのだ。寿司などの日本食が欧州で大人気なのも、ヘルシーだからに他ならない。

 ローマで日本に留学したイタリア人と話をしたことがあるが、その人は日本に住んで10k痩せたと言っていた。マリナは、三ヶ月くらい私の実家に住むべきなのではないか。日本に来れば、マリナは確実にやせるはずだ。日本食はそれくらい、ヘルシーでダイエットに使えるものだと、欧州に住んで改めて学んだのである。


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by gosuiro | 2012-04-01 11:41 | ROMA留学エッセイ | Comments(0)


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