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イタリアに住んでからの「人」とのかかわり方
イタリアに住んでからの「人」とのかかわり方_b0206901_23403249.jpg イタリアに住んで学ぶことはたくさんありますが、なかでも人種(慣習・宗教)・言語・食については本当に興味深いところが多く、私本当に欧州住んでよかったなあ、と痛感されられっぱなしです。今回はこないだのエッセイで取り上げた「人種」にスポットをあてて……。

 はじめイタリアに住む前の私は、ステレオタイプのイタリア人というものを念頭に入れていました。日本にいるとイタリア人に接する機会などほとんどなく、テレビとか本から仕入れるものが多くてですね、……今思えば、先入観をいくら排除してみても、結局、日本人が理想とするフィルターでイタリアの人を眺めていたのかなと思います。

 そしてローマに住み、マリナという年配の友人(家主からすっかり昇格)に出会ってからそのすべてが崩れました。さすがに家計簿をつけてるイタリア人はそうそういないんではないかと(笑)、それくらい生真面目だけどユーモアがあって、理性的で情緒もよくわかっていて、旅行の予定盛りすぎてせかせか動くところも日本人に似ているなと……ようは、マリナが日本人の特性を持ち合わせたイタリア人だったのでありました。日本人に性格が似ているけれど、日本のことをよく知らない外国の人っているんだなーと感心したくらい(マリナは私が来るまで、とりわけて日本に詳しいわけではありませんでした。私が住むことになって、日本に関する資料かき集めていたくらい)。
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 イタリアに住んでまず思ったのは、彼らが別に陽気でもないところですかね。イタリア人の陽気さって底が知れているんです(笑)。そう思ったのは、語学学校で多くの人種に出会えたことから感じた部分でもあります。南米の方とスペイン人のどこか底の抜けたような陽気さに比べれば、イタリア人の陽気さは底がすぐ見えるかな。あと変にずる賢いことができるし、変にナイーヴ。おばちゃんたち集まれば愚痴大会みたいなところもあります。こういうの見てるから、イタリア人と日本人は気質が近いのかなーと思うんですよね(近年は日本人もドイツ人的思考なのかもしれませんが)。でも、イタリア人って元から人好きなところがあるので、なんだかんだ空気読める人種です。これには私もちょっと驚いた。

 あと、確かに男性陣の声掛けの速さは尋常ではないですが、あれは気質というより条件反射に似ているというか……子どもの欲しいものにすぐ手を出してしまうあの感じに似ています。ダメ!って手を叩いたらビビッてすぐ逃げる的な(笑)。気持ちに忠実なところはあるかもしれません。つい、言っちゃいけないところで言っちゃってもめるとか、バレちゃいけない事柄が隠蔽下手ですぐバレてもめるとか……バレたくないならもっと作戦立てようよ!と思うときが多々あるんですが、そういう意味ではオーガナイズ下手なんでしょうね、だって我慢きかないから。
イタリアに住んでからの「人」とのかかわり方_b0206901_2341938.jpg 特にイタリア人でも良い性格の方には人懐っこい人も多いのですが、なにより人情的です。お節介一歩手前くらいに親切(おせっかいだよ! と言えば、ちゃんと気持ちを汲んで手を引いてくれるのが親切な人です。強引なお節介はただの自分勝手。)。言葉きつい人もいるけど、一人でいると心配して声かけてくれるし人のことを気遣ってくれます。しかしながら、それはイタリア人にかぎらずいえること。

 私がイタリアに住んで思ったのは、ある程度は風土や慣習が人の思考や性格を育てるものの、人間的本質の良い悪い部分は世界共通なんだな、ということです。そりゃ人種が違えど「同じ人間であること」には変わりないですからね……そうした当たり前のことを海外に住んでようやく納得することができました。海外の方のほうが、より性格の良い部分悪い部分が見えやすい(あからさまな)だけで、ともすると上手に良い人の仮面をかぶれる日本人のほうがタチ悪いかもしれないし(苦笑)。

 いずれにしても、海外に住んで一番の目からうろこだったのは、「本当に気持ちの通じ合える友人というのは、日本人以外でつくれる」ということです。マリナと出会ったことは、イタリアに住んで一番感動した部分です。なんていうか、私生きててよかったなあ、この人に会うために生きてたのかなあ、と痛切に思えたというか……精神的に成長させてくれたというか、私の人生のお手伝いをしてくれた人というか。身内以外でここまで感謝できる人はいない、という感じです。むしろマリナの身内でない自分が不思議なくらい、彼女のことが好き。
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 別に自分を理解してくれる人を、同じ日本人の中で探さなくてもいいんですよ。本当に思考回路が似てて、一緒にいて安心する友達って、日本にいなくても世界のどこかにはいるんです。地球の人口が多すぎて探しきれないだけで、自分を真に理解してくれる人は地球上のどこかに絶対にいる。

 まるでチープな道徳教育みたいな発言ですが(笑)、私が身をもって体感したのでこれは確かです。だから人とつながることを諦めないでほしいし、小さな世界で自分を卑下することも、自分のことは誰も理解してくれないんだって絶望もしなくても大丈夫です。私だって、大好きなマリナちゃんに出会うまで二十数年かかってるわけですから。

 ちなみにマリナをすごく良い人として私は紹介していますが、彼女のことを好きでたまらないと言っている人(特に日本人)は、あんまりいません。「真面目すぎ、かまいすぎ、窮屈」と思うらしいんですよね……特に日本人は羽を伸ばしたくてイタリアくんだりまで住みに来ているんだから、日本人気質のマリナとは一緒に住めないらしい。単純に、私はマリナとうまがパズルのピースのようにあっていただけです(笑)。だから、自分にとって最高の友人でも、他人にとって良い友人になるとはかぎらないこともまた真実だと思います。人のことを気にしないで、自分の本当に気のあうひとを大切にしていけばいいんですよ。人の目を気にして自分の大切なものを疎かにするほど、もったいないことってないです。
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 ……と、人種の話をするはずが、結局人間論で終始してしまった(苦笑)。国を絡めた人種的な話は次回、その次はちょっとまたイタリアから旅行してまいります。目的地は同じくラテンの国スペイン!

 そうだ、最後に大事な補足。

 海外に住んですごく思ったのは、良いコミュニティーと悪いコミュニティーの差がものすごいはっきりしていることです。良い人のところには良い人しか集まらず、悪い人のところには悪い人しか集まらない。日本も同じですが、外国だとそれが雲泥の差で違います。

 私もマリナのコミュニティーの一員に加わってから、過酷だったローマ生活が、一瞬にして天国になりました(笑)。海外生活される方は、そうした人のコミュニティーを見極めることが大切ですよ。運がよければ、一気に言語も上達しますし、すごく良い上流階級に潜り込めます(私も一時潜り込みました。面倒になって切っちゃったけど。苦笑)。

(写真はすべて、ローマにあるアルテンプス宮です。ここが好きすぎて、写真で美術館観賞……)

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by gosuiro | 2012-10-04 23:55 | イタリア的雑記 | Comments(0)


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