【18ROMA留学エッセイ2010-09c】 リグーリア州を散策しよう「チンクエテッレ編」
 イタリア留学エッセイ第18回目は、リグーリア州(ピサ・チンクエテッレ・ジェノバ)の旅行記の前・中・後。今回は中編のチンクエテッレ観光です。後日、旅行道中に関する補足(特に食事場所など)をUPいたします。前編の「リグーリア州を散策・ピザ編」はコチラ、前回エッセイ「他言語から見た日本語のおもしろさ」のリンクはコチラです。
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 チンクエテッレは、日本語に直すと「五つの土地」という意味だ。名の通り、海に沿って続く崖や窪みに五つのちいさな集落が点在している。宿泊している港町ラ・スペツィアに一番近いのは、各駅列車で9分のところにあるリオ・マッジョーレ、そこから北へマナローラ、コルニリア、ヴェルナッツア、モンテロッソと州区が続いていく。その集落と集落の間隔は、最大でも列車で5分だ。どの町も向かうには車も使えるが、各停列車が一番快適といえる。

 昔はもっぱら徒歩で行き来していたようで、歩道もそれなりに整備されていた。しかし、場所によってはハイキング状態になるところもあり、いかに厳しいところに集落を築いたかが伺われるのである。日本でいえば、東北のビュー白神が通る五能線沿いの大きな崖の窪みに集落をつくったような感じに近い。

 チンクエテッレ観光は、この五つの集落をめぐるかたちとなる。ひとつひとつはちいさい町になるので、一時間もあればこと足りる。観光には、チンクエテッレカードというフリーパス券がとても便利だ。一日券、二日券、三日券、一週間券などがあり、船でチンクエテッレに行くセット券と、ラ・スペツィアなど周辺の町まで共通の列車券もある。私たちは後者の列車二日券を購入した。二日で15ユーロをきるのだから、悪くない金額だ。

 五つの集落をめぐるとなると、いくら町がそれぞれちいさくても観光に6時間以上は必要となる。翌日は雨が降る予報だったので、ひとつでも集落を見ておきたかった。まずは、一番ちいさい集落のマナローラに向かった。

 マナローラは、本当にちいさな集落だった。くぼんだ崖のような傾斜を削って、アパルタメントがひしめきあう。坂だらけの集落だ。しかし、住宅の外壁が色彩豊かで、まるでおとぎ話の世界なのである。浜はなかった気がする。人工的につくった海への玄関口は狭く、海に続く短いメインストリートには、車ではなくボートが両端に幅を利かせていた。

 私たちは一度高台にあがり、寄せ集まったちいさな町並みを見た。後ろは崖のような急斜面がそびえ、そこに段々の畑が上へ上へと伸びている。昔バリの中部で見たライスフィールドやどこか忘れたが日本の山奥で見た段々畑を思い出した。土地を有効に活用しなければ生きていけないような厳しい場所なのだ。

 栽培されているのは、主にぶどうであろう。醸造の季節なのか、ワインのかすかなにおいがする。マナローラは、稀少酒シャケトラの生産地だ。貴腐ワインに近く、度数も35度くらいある。そして値段も一本30ユーロ前後からと異常に高い。

 シャケトラをボトル一本買う気にはなれず、海岸沿いのバールで一杯いただくことにした。これがまた、驚くほどおいしかった。高いのも仕方がないくらい、本当においしかった。チンクエテッレあたりでしか手に入らないお酒なのが本当に残念である。

 この日は、マナローラで夕焼けを見て行程を終了した。翌日雨降らないことだけを祈り、翌日に備えた。
 リグーリア州めぐり二日目は列車の時刻にあわせ、午前中にチンクエテッレの最北にあたるモンテロッソへ降り立った。本日は、ここから最南のリオ・マッジョーレまで下っていくルートである。

 モンテロッソは、チンクテッレでも唯一まともな浜辺が続いている観光地だ。夏になるとちょっとしたリゾート地としてにぎわうようだが、肌寒くなった日和に、その時期は閉じていた。天候も、どうにか雨は降らないといった曇り空だ。道は整備されて歩きやすく、おしゃれなバールやお店が軒を連ねていた。ホテルも多く、チンクエテッレに泊まるならばモンテロッソがベストだろう。かわいい店が軒を連ねる路地を散策してから、次のヴェルナッツアへ列車で移動する。

 このヴェルナッツアが、チンクエテッレの中で最も大きい町となる。その通り、一番大通りも広く観光客であふれていた。海の出入り口には、ボート用に猫の額ほどの人工浜が敷かれている。マナローラと同じく、建物もパステル調の色に塗られていた。観光然としていたが、建物によってはワインの醸造を行なっているところもあり、素朴さも依然残っていた。奥行きがある町並を散策してから、次のコルニリアまで列車を使うか徒歩で行くか考え、徒歩で向かうことにする。

 ヴェルナッツアからコルニリアまでが一番距離のあるコースだ。4キロ、約一時間半要する道のりである。急な坂や舗装されていない箇所が当たり前で、危険なところも少なくない。とはいえ、私は奈良の大神神社のご本尊(小高い山の山頂)まで、ハイヒールでホイホイ登るような人間であった。それなりに山の怖さも知っているので、降り出しそうな天気も念頭にいれてから、トレッキングをすることにした。さすがにこの旅行でハイヒールは履いてきていない。

 この道のりは、思っていたよりも険しかった。しかし、この険しさが逆に嬉しかった。久しぶりに山を登る感覚を得て、悠々とアップダウンの続く道を歩く。行き交う観光客の人たちと、イタリア語や英語で挨拶しながら道中を楽しんだ。コルニリアに着く頃、重くもたげた雲からとうとう雨が降りだす。私たちは、遅い昼食をとることにした。

 チンクエテッレの中で唯一海に面せず、崖の上にある町コルニリアは、マナローラと同じくらいちいさい集落だ。坂はどの集落よりも少ない。食事場所探しついでに歩けば、集落散策もすぐに終わってしまう。

 雨しのぎのついでに、レストランに入ってのんびり食事をすることにした。しかし、食べ終えて外へでても、雨は降り続いていた。仕方なく折り畳み傘をさして、一路最南の集落リオ・マッジョーレに向かう。鉄道駅は崖の下だ。強い雨の中、長い長い階段をなんとか降りて駅に着く。

 鉄道は15分近く遅れていた。仕方なく駅舎のひさしで、雨をしのぎながら待つ。正面は地中海である。雲の動きは早く、遠くのほうはかすかに青空が見える。おそらく30分もすれば止む雨だろうと推測していると、その通り列車が到着する頃にはあがっていた。リオ・マッジョーレは傘を差さず散策が可能となった。

 リオ・マッジョーレの雰囲気は、マナローラとヴェルナッツアの間といったところだ。チンクエテッレの南側玄関口にもかかわらず、ある意味一番観光化されていない印象をもった。海の出入り口までぐるりと散策してから、パステッチェリアで地元のお菓子を買い、バールでエスプレッソを頼み休憩する。チンクエテッレの素朴さを味わった後は、最後の行程だ。リオ・マッジョーレから前日訪れたマナローラへの道のりを歩くのである。

 チンクエテッレの歩道で最も有名なのは、このリオ・マッジョーレからマナローラ間の道である。その名も「愛の小道」。綺麗に舗装された道のりは、ほぼすべて海に面していて、名の通りロマンチックな小道だ。距離もゆっくり歩いて30分程度。道中には、観光客の恋人たちがつけた施錠がいたるところに残されてある。

 愛をつなぐ施錠は、チンクエテッレの売店にも売っているのだからさすが観光地。恋人たちの置きみやげと、暮れる夕日を見ながらマナローラまで歩き、駅からラ・スペツィアへと帰った。雨の日和でありながら、雨の不快さはあまり感じない良い日だった。もちろん夕食は、海の幸をしつこく味わった。


◆【エッセイ18(9月後半)後編】は、随時更新予定。タイトルは「リグーリア州を散策しよう、ジェノバ編」です。
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by gosuiro | 2011-11-03 00:15 | ROMA留学エッセイ | Comments(0)


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