南イタリアの遺跡たち
b0206901_19195763.jpg イタリアには遺跡が数多く存在しています。遺跡と言えば=ローマ帝国時代みたいな印象かもしれませんが、実は南のほうへ行けば行くほどそうではないんです。

 古代ローマの前には、古代ギリシアの香りあり。というわけで、今回は数あるイタリア遺跡の中でもおすすめしたい場所をご紹介。これぞ南イタリアの醍醐味!という感じです。まず一枚目は前回登場したポンペイ遺跡の通り(前回話はコチラ)。

 元々ポンペイは紀元前6世紀につくられた街で、侵攻や同盟などから色んな民族の手に渡りつつ、最終的には古代ローマ人の保養地として繁栄しました。有名なポンペイの壁画様式は古代ローマの壁面装飾(紀元前2世紀~被災した西暦79年まで)なので、ローマの文化が色濃いです。

 ポンペイには壁画や建物がけっこう残されているので、失われた古代都市を歩いていると古代人の亡霊に遭遇するんじゃないかというタイムスリップ迷路のような見ごたえがあります(本当に広くて迷路です……)。庶民の息遣いを感じる遺跡です。
b0206901_1920299.jpg 次に、古代ローマと比較する遺跡ですが……写真2枚目、ユーノー・ラチニア神殿(ヘラ神殿)。南イタリアの中でも南、シチリア島南西部にあるアグリジェント遺跡群、神殿の谷の神殿です(詳しいシチリア島の話や写真はコチラ付近)。

 ポンペイ遺跡に比べて、完全に雰囲気がギリシャです。私はコンコルディア神殿を前にしたときに「もうギリシャ行かなくてもいいじゃん、ここで神殿観れたし」って思いました(笑)。

 アグリジェントの神殿の谷は古代ローマ色がとても薄い遺跡です。それもそのはず、当時シチリア島からナポリ・アンコーナ(アドリア海側)あたりは古代ギリシアの植民地でした。今でも古代ギリシアの風土は残っていて、マグナ・グラエキアと呼ばれています(イタリアでは、マーニャ・グレチャ Magna Graecia みたいに呼ばれているはず)。プーリア州あたりから下の州は方言や髪色(黒の強い癖毛)などもかなりギリシャっぽい雰囲気。


b0206901_1920659.jpg 私がイタリア南部に惹かれる理由のひとつが、このマグナ・グラエキアの個性。北イタリアにはない古代のにおいがたまりません。ちなみに、慣れてくるとイタリア人でも、北イタリアと南イタリアの出自どちらかなんとなく察せるようになります(日本でいうところの、本土と沖縄の人の顔の違いがなくとなく察せるみたいな感じ)。

 さて、アグリジェントという都市ができたのは紀元前6世紀頃。古代ローマ人によるローマ建国が紀元前8世紀頃なので、それよりも都市は若いですが、アグリジェントは古代ギリシャの植民都市として建造されたわけで……大もとの古代ギリシアは最初の文明(ミノア文明)が紀元前20世紀頃、ポリス成立が紀元前8世紀、つまり相当成熟した状態で建造された植民都市になります。建造様式はドーリア式。

 この都市も国の戦いに巻き込まれ、紀元前5世紀頃北アフリカのカルタゴの手に落ち、さらに紀元2世紀頃ローマ軍に制圧されます。神殿の丘にある考古学博物館近くにはローマ軍に制圧された後のローマ時代の遺跡があり、古代ギリシアと古代ローマの様式の違いもよくわかります。


b0206901_19201063.jpg 神殿の丘の考古学博物館はすごくよかったです。アグリジェントの後にポンペイ観光してしまったから、ポンペイの印象が私の中で微妙なんだろうなあ(苦笑)。ポンペイは神殿の丘ほど復元も弱く保存もよくなげっふげっふ。また、神殿の丘という名のとおり高い丘の上にあるので景色がものすごく良いです。海も臨めます(アフリカ大陸に思いをはせることができます)。私の一等好きな遺跡です。

 その流れで、写真3枚目は同じくシチリア島南東の端、シラーサのギリシア劇場。考古学公園内にあり、シチリア島では一番大きい劇場です。森の先は海。公園内は他には円形闘技場や祭壇、天国の石切り場という洞窟等があります(写真はコチラ)。

 シラクーサは本当に古代から現代を感じさせる生きた都市で、建造は紀元前8世紀。ギリシア人が入植して繁栄しました。円周率などで有名な数学者アルキメデスはこの都市の人間でした。旧市街にはオルティージャ島という小島がありドーリア式のアポロ神殿や、アレトゥーザの泉というギリシア神話に出てくるスポットもあります。シラクーサの考古学博物館もかなりおすすめです。


b0206901_19201589.jpg ついで、写真4枚目はシチリア島東岸に位置するタオルミーナのギリシア劇場、客席側一番上からの景色(シチリアで2番目に大きい劇場)。先に見える山はエトナ山です。欧州でも憧れのリゾート地であり、映画の舞台でも有名ですが……もとは古代ギリシアに起因する町で遺跡も多く残っています。ギリシア劇場は最たるもので今も現役、綺麗に使われています。よくオペラやバレエ等の上演がされていますね(私が行ったときもしていました)。

 という南イタリアの主要遺跡。最後の写真はポンペイに戻って劇場跡です。ポンペイそばの都市ナポリも古代ギリシアの植民地として建設され、シチリア島より早く古代ローマの支配下にはいっています。ポンペイにも古代ギリシア時代の面影はありますが、シチリアに比べると弱いです。ローマのフォロ・ロマーノあたりは完全にローマ帝国の基礎になるため、ギリシア文化の影響はあってもまったく別さの民族の話になるのです。

 イタリアはいろんな文化や民族が古代から入り交じりすぎ(笑)。そのぶん歴史は本当に深いですし、世界遺産が世界一あるのもうなずけるなーと思うのです。特に古代ギリシアから世界的覇権をとったローマ帝国がローマで生まれたというのはすごい……というわけで、次回は久しぶりに愛しのローマの遺跡のお話へ!でも、シチリア島の遺跡群は(個人的にポンペイよりも)強く旅行地としておすすめしたいです……。
[PR]

人気ブログランキングへ にほんブログ村 海外生活ブログへ   ☆★☆ブログランキング・WEB拍手に参加中です。ポチッとご協力お願い申し上げます☆★☆
by gosuiro | 2015-07-01 19:28 | イタリア的雑記 | Comments(2)
Commented by shobirei at 2015-07-03 23:26
いつも素晴らしいブログをありがとうございます。南イタリアは観光地だけど、歴史的に見ると本当に地球文化の原点みたいな気がします。
タオルミーナ、アグリジェント、夢の中の景色のように懐かしく思い出され、拝読させて頂きました。
小阪美鈴
http://www.misuzu-ism.com
http://shobirei.exblog.jp
Commented by gosuiro at 2015-07-05 01:01
温かいコメントをいつもくださいまして、ありがとうございます。
おっしゃるとおり地球文化の原点の縮図のような場所だと思います南イタリア。アフリカにも大変近いですし。
記憶に共感できる内容となりましたこと、嬉しく思います。これからも宜しくお願い申し上げます。


<< ローマの遺跡と小説更新のお知らせ 夏至明けの小説更新 >>